歯を残せる可能性がある「根管治療」
むし歯が進行して神経まで感染が及んだ場合、かつては抜歯が選ばれるケースが多く見られました。しかし、歯は一度抜いてしまうと二度と元には戻りません。当院では、患者様の大切な歯をできる限り残すために「根管治療」を行っております。根管治療とは、感染した歯髄（神経）を丁寧に取り除き、内部を無菌状態にしたうえで薬剤を詰めて密封する処置です。この治療が適切に行われることで、歯を残すことが可能になりますが、不十分な処置では再発し、最終的に抜歯となってしまうこともあります。そのため、知識・経験がある歯科医師に相談しましょう。
当院の根管治療
無菌状態を可能にする「ラバーダム」
根管治療中の歯の内部は、非常に繊細で無菌状態を保つ必要があります。しかし、お口の中には常に唾液が存在し、そこには数多くの細菌が含まれています。当院では、治療対象の歯に「ラバーダム」というゴム製のシートを装着し、唾液の侵入を徹底的に防ぎながら治療を行っております。ラバーダムを使用することで、治療部位を清潔に保ち、より確実で再発リスクの少ない根管治療が実現できます。欧米では一般的なこの方法ですが、日本ではまだ導入率が低いと言われています。当院では積極的に取り入れ、質の高い治療を提供しています。(※症例によって使用します。)
拡大視野化で根管内を確認できる「拡大鏡」
根管治療で扱う根の中はとても細く、肉眼では把握できないほどです。当院では、サージテルという拡大鏡を用い、最大3.5倍の視野で治療を行っております。これにより、微細な構造をしっかりと確認しながら処置ができ、病巣の取り残しや薬剤の詰め残しを防ぐことが可能になります。精度の高い治療こそが、長期的な再発防止と歯の保存につながると私たちは考えています。
柔軟性が高い「ニッケルチタンファイル」
根管の中を清掃する際には、「ファイル」と呼ばれる細い器具を使用します。従来はステンレス製のファイルが主流でしたが、当院ではしなやかで曲がりやすい「ニッケルチタンファイル」を導入しています。この素材は、湾曲した根管にも無理なく追従できるため、根管を傷つけずに隅々まで清掃・成形することが可能です。より確実で安全な治療のために、治療器具にもこだわりをもって対応しています。
根管治療の予後が良好でない場合に行う「歯根端切除」
根管治療を行っても、歯の根の先に炎症や膿が残ることがあります。こうした難治性のケースに対しては、「歯根端切除」という外科的処置を行うことがあります。この方法では、歯ぐきを切開して直接病巣にアプローチし、根の先端とともに病巣を取り除きます。通常の治療で対応が難しい場合でも、抜歯を避けて歯を残せる可能性がある治療です。ただし、すべての症例に適応できるわけではないため、十分な診査・ご説明のうえでご提案いたします。
根管治療が必要な症状にならないように予防を心がけましょう
根管治療が必要になる前に、むし歯を予防することが最も重要です。歯の神経である歯髄は、痛みを感じるだけでなく、歯に栄養や免疫力を届ける非常に重要な器官です。一度失ってしまうと、歯の寿命が短くなってしまうこともあります。だからこそ、むし歯の早期発見・早期治療、そして定期的な検診による予防が大切です。当院では、患者様が生涯にわたって自分の歯で過ごせるよう、予防中心の診療体制を整えております。
